「コーギーの尻尾は切るって聞いたけど、どんな理由があるの?」
「コーギーの尻尾を切る時期と方法は?」
「尻尾ありのコーギーを飼ってみたいけれど、どこで引き取れる?」
当記事に来てくださった方は、上記のような疑問があると思います。
生まれつき無いと思っていたコーギーの尻尾が切られていたなんて、驚きですよね。
この記事では、コーギーの尻尾を切る理由と時期、方法について解説します。
また、犬の尻尾を切ることについて海外や日本はどういう立場をとっているのかや尻尾ありのコーギーを飼う方法についても紹介しています。
ぜひ、参考にしてください!
目次
コーギーってどんな犬?
コーギーは、正式名称を「ウェルシュコーギーペンブローク」といい、イギリスの地方で牧羊犬として活躍していました。
ウェルシュとペンブロークはコーギーが活躍していた土地の名前からきています。
コーギーは愛らしい見た目から、イギリスの王族にも代々愛されてきました。
見た目は胴長短足で、チョコチョコと歩くときにふりふりと動くお尻がかわいいと評判です。
毛の色はレッド・セーブル・フォーン・ブラック&タンと、色とりどり。
上記だけでも十分個性的ですが、コーギーの見た目で外せないのが「尻尾がない」ことでしょう。
ですが、コーギーはもともと尻尾がなかったわけではありません。
実は、コーギーの尻尾は小さいときに切り落とされているのです。
コーギーの尻尾が切られる理由
なぜコーギーの尻尾を切り落としているのか、気になりますよね。
理由としては以下のようなものがあります。
- 牧羊犬として安全に働けるように
- 税金対策
- 狂犬病予防ができると信じられていた
牧羊犬として安全に働けるように
一つ目の理由は、牧羊犬として働くためです。
コーギーの尻尾は長く、牛や羊の追い込み作業のさいに踏まれてしまう可能性がありました。
犬の尻尾には体のバランスをとる機能があるうえに、他の部分と比較して敏感です。
踏まれてしまえば大きなケガをする危険があったため、生まれたてで痛覚がないと考えられている頃に尻尾を切っていました。
税金対策
二つ目の理由は、税金を節約するためです。
コーギーの出身国であるイギリスでは、尻尾のついた犬に税金が課せられた時代がありました。
当時、貴族の間では鹿狩りが流行っていました。
鹿狩りを楽しむために貴族たちは「犬が邪魔しないように足を傷つけて早く走れないようにしなさい」と、当時犬を飼っていた人に義務付けます。
しかし、牧羊犬を傷つけられては困る農家もいます。
そこで農家たちは足を傷つけない代わりに税を納めることで、義務から逃れました。
ですが、犬の尻尾を切断することで早く走れないと思わせて、次第に税からも逃れるようになった、とされています。
現在、上記の税制度は廃止されましたが、当時はコーギーに限らずさまざまな犬種が尻尾を切られていました。
狂犬病にならないと信じられていた
三つ目の理由は、狂犬病を予防するためです。
昔のヨーロッパでは、古くから尻尾を切ることによって狂犬病を予防できると信じられていました。
さらには尻尾を切ることは、体を丈夫にしてケガを防ぐ、と言われていたそうです。
古くから伝わる迷信も、コーギーの尻尾を切るという習慣が続いたことに関係しているのでは、と考えられています。
コーギーの尻尾はなぜ今も切られている?
コーギーの尻尾が切られる理由について説明しました。
しかし牧羊犬でなければ、現代でコーギーの尻尾を切っている理由にはなりません。
今の時代、犬の尻尾の有無は税金に関係ないうえに、狂犬病が予防できないこともわかっています。
では、なぜ今もコーギーの尻尾を切っているのでしょうか?
理由は、次の3つがあげられます。
- 犬種らしさを維持するため
- 尻尾のケガを防ぐため
- 衛生面を考慮して切っている
犬種らしさの維持
一つ目の理由は、コーギーらしさを維持するためです。
昔から習慣として尻尾を切っていた犬種は、伝統を維持するために今も尻尾を切っています。
犬種の血統証明書を発行しているケネルクラブでは、伝統を守るために一部の犬種は尻尾を切ることを「標準」としているのです。
たとえば、私たちが「コーギー」と聞いて思い浮かべるのは、尻尾がなくてプリプリとしたお尻がキュートな短足胴長のワンちゃんです
こういった犬種固有のらしさを保つことで人気を高め、多くの人に買ってもらえるようにしているというのが尻尾切断の理由です。
尻尾のケガを防ぐため
二つ目の理由は、尻尾のケガを防ぐためです。
上の見出しで説明した牧羊犬の項と同じ理由で、ケガを防ぐために尻尾を切るブリーダーさんもいます。
ペットとしてあまり多い事例ではありませんが、犬同士で遊んでいるときに尻尾をかまれたり、ドアに尻尾をはさんだりしてできたケガをすることがあります。
ケガは病原体に感染するきっかけとなり得るため、犬が病気にならないように尻尾を切っているのです。
衛生面を考慮して切っている
三つ目の理由は、尻尾があると衛生面で不安があるからです。
コーギーの毛は、短くも長くもない、中間ぐらいの長さです。
一般的に、体毛の長さは尻尾の毛の長さに比例します。
尻尾の毛が長いと、トイレのときに肛門周りが汚れやすくウジ虫が湧いたり、皮膚病になったりする可能性があります。
コーギーは足が短く、尻尾と地面の距離がどうしても近くなってしまうので、衛生面を考えて切っているようです。
コーギーの尻尾はいつ、どうやって切っている?
コーギーの尻尾を切る理由には、昔からの風習が関係していました。
ここからは、どのようにしてコーギーの尻尾を切っているのかご紹介します。
コーギーの尻尾を切る時期
コーギーの尻尾は通常、生まれて2〜5日の頃に切っています。
生まれて間もないコーギーは痛覚が未熟なため、尻尾を切ったとしても痛くないと考えられているためです。
では、生後5日を過ぎたコーギーはどうするのかというと、痛覚が成熟しているため麻酔を使う必要があります。
全身麻酔に耐えられる生後8週目になるまで待ってから、尻尾を切断します。
コーギーの尻尾を切る方法
コーギーの尻尾を切る方法は次の2つです。
ハサミなどの刃物で切断する
尻尾にゴムなどをきつく巻き付け、壊死させる
動物病院で行う場合は、麻酔をかけてから刃物で尻尾を切断しています。
尻尾にゴムを巻き付ける場合は、約3日ほどで尻尾が壊死して切断できます。
コーギーの尻尾切断には問題がある!
実は、尻尾を切るという行為は、犬の健康に問題を及ぼすケースがあります。
問題は、大きく分けて次の2つです。
尻尾を切るさいに痛みを伴う
感染症にかかる危険がある
尻尾を切るさいに痛みを伴う
生後2〜5日は痛みがないため、尻尾を切るのに適している、と考えられていました。
しかし、最近の研究では、生まれて間もない子犬であっても痛みを感じていることがわかっています。
また尻尾切断のさいに感じる一瞬の激痛だけでなく、手術後に障害が残るのも問題です。
実際に、尻尾を切断したあと犬の骨盤の筋肉が萎縮していたり、変形している様子がみられたという報告もありました。
上記のような異常がある場合、便失禁や会陰ヘルニアになる危険が高くなってしまいます。
ただし、尻尾を切ることに対する犬の健康へのリスクについての研究は数が少ないです。
そのため、尻尾を切断と健康リスク・痛みの関係ははっきりわかっていません。
感染症にかかる危険がある
尻尾の切断は、感染症にかかる原因にもなります。
とある研究によると、犬の尻尾を切断したあとに傷口が感染したり化膿したりしたという問題が起こりました。
調査した犬の4割を占めていたというのですから、相当な確率です。
一般的な尻尾切断の時期は、子犬の頃です。
子犬は成犬と比べて免疫力が低いため、より感染の可能性が高まります。
切断後は傷口を流水で流したり、感染予防のための抗生物質を投与したりして対処していますが、リスクとメリットを天秤にかければやはり問題と言えるでしょう。
コーギーの尻尾を切ることに対する国の方針は?
理由はあれど、問題点も多い犬の尻尾の切断ですが、国によって方針が違います。
動物福祉の点から、尻尾の切断に否定的な国や禁じている国、特に動きを見せていない国などさまざまです。
各国がどのような動きを見せているのか、ヨーロッパ・アジア・アメリカの3つに絞ってご紹介します。
ヨーロッパは尻尾切断を禁止している国が多数
ヨーロッパでは尻尾切断を禁止している国が多数です。
イギリスでは2006年に、狩猟犬の一部を除いて犬の尻尾切断が法律で禁止されました。
イギリスと同様に、
ドイツ
デンマーク
オーストラリア
の三国も一部の犬種を除いて尻尾の切断を禁止しています。
一方で次の国は犬の尻尾切断を制限していません。
フランス
ポルトガル
ハンガリー
ヨーロッパでは禁止している国が多くありますが、国によって犬の尻尾切断の立ち位置は異なるようです。
アジアは尻尾切断を禁止していない国が多い
アジアは、ヨーロッパに比べて尻尾の切断を禁止している国が少ないです。
日本でも犬の尻尾切断に関する法律がないため、ブリーダーや獣医師の手で手術が行われています。
動物福祉を考えて徐々に尻尾を切断しない犬種も増えていますが、禁止とまではいかないようです。
ただ、ヨーロッパで禁止している国が増えているため、徐々に尻尾の切断を禁止または制限する国が増えていくのでは、と考えられています。
アメリカは尻尾の切断を禁止していない
アメリカでは犬の尻尾切断は禁止されていません。
今もコーギーが尻尾を切られている理由で紹介しました、犬の血統書を発行しているケネルクラブもアメリカにあり、血統書発行の基準として尻尾の切断を条件としています。
昔から尻尾を切断していた犬は、伝統を守るために今も切断しているのです。
しかし、近年ではアメリカでも動物福祉の視点から、尻尾切断を禁じようとする動きがあります。
尻尾のあるコーギーを飼う方法はある?
尻尾のない理由はわかったけれど、尻尾のあるコーギーを飼ってみたい! という方もいらっしゃると思います。
ペットショップなどでは、基本的に尻尾のないコーギーしかいません。
尻尾を切断していないコーギーを飼いたい場合は次の3つの手段を試してみてください。
ペットショップの店員さんに聞いてみる
ブリーダーさんから直接もらうときに尻尾ありのコーギーが欲しいと相談してみる
尻尾ありコーギーの里親を募集している人からもらう
ブリーダーさんによっては、伝統的なスタイルにこだわっている方もいるので、場合によっては断られます。
そのときは別のブリーダーを探してみてください。
また、ネットで「コーギー 尻尾あり 里親」と検索すると、里親を募集しているサイトが出てきますのでそちらも活用すると、早く見つけることができるかもしれません。
以下、おすすめのサイトをまとめます。
最後に、尻尾つきコーギーの動画を見つけましたので良かったらぜひご覧ください。
意外と長い尻尾を持っていることがわかります。
牛や羊を追いかけるときに踏まれそうだから切る、という理由も少し理解できますね。
尻尾の先が少しだけ白くなっているのが魅力的です。
なぜコーギーの尻尾を切るの?理由を解説 まとめ
コーギーの尻尾を切る理由や方法についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
最後に当記事の内容を簡単にまとめます。
・コーギーの尻尾を切っていた理由は牧羊犬・税金・狂犬病予防
・今もコーギーの尻尾を切っている理由はケガ予防・伝統の維持・衛生面
・コーギーの尻尾を切る時期は生後3〜5日で、方法は縛って壊死させるか刃物で切る
・コーギーの尻尾を切る問題点は痛みが伴うこと、感染の危険があること
・尻尾つきコーギーを飼う方法はペットショップ店員に相談・ブリーダーに相談・里親になる
コーギーの尻尾を切る理由はさまざまです。
相応の理由と問題点があることから、尻尾の切断は賛否が分かれています。
当記事の内容を参考に、尻尾の切断について考えていただけたら嬉しいです。
とはいえ、尻尾があってもなくても、コーギーがかわいらしいことに変わりはありません。
コーギーと一緒に暮らしている方も、これから迎えようと考えている方も、うんと愛情を注いであげてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました!