犬にとって口とは、
人間の手に当てはまる部分です。
人が手だけで表現できるジェスチャーはどれほどあるでしょうか?
「ダメ」「OK」「お腹が痛い」「ファイト!」など、
パッと思い付くだけでもこれだけ出てきます。
犬に噛まれると「攻撃された」「異常な行動だ」と感じてしまいますが、
犬にとって噛む行動はコミュニケーションの1種です。
「噛むのをやめさせる」ではなく、
犬からのメッセージを受け取ることにフォーカスしてください。
特に生後1歳以上の成犬による本気噛みは、
複雑な事情や子供時代のできごとが原因になってる場合が多いです。
初めにお断りしますが、
成犬の本気噛み矯正は訓練士でも困難です。
数ヶ月ほど訓練士に預けて躾を入れ直す方法もありますが、
「完璧に矯正させるのが不可能の場合もあります」と、飼い主にお伝えしてる訓練士もいるほどです。
だからこそ、
成犬の本気噛みを訓練士の方に預けるか、
アドバイスを受けることをオススメします。
本気噛みする理由を理解するため、
時間をかけて愛犬と向き合いながら矯正していく必要があります。
ライター:結城むつみ
幼い頃に家族で犬を飼育していました。動物と文章を書くことが大好きで、学びながら記事を書くのがとても楽しいです。飼い主と愛犬の両者の視点で執筆するのを心がけています。
目次
犬の本気噛み対処法:飼い主を噛む理由
成犬が本気噛みしてしまう主な理由を挙げていきます。
・病気。
・遊んでいる。
・噛むのが癖になっている。
・恐怖や興奮などのストレス。
・自分の方が偉いことを表現している。
・どうしても我慢できなくて抵抗している。
歯ブラシやトリミングなど特定の状況に限って噛みつく場合です。
・犬種による本能的な理由。
人気の柴犬など、日本犬は元々攻撃的な性格で飼いにくい犬種です。
・縄張り意識。
大切な物、ご飯や寝床などを奪われたくない気持ちです。
これ以外にも本気噛みに繋がる理由はありますし、
複数の原因によって本気噛みをしていることもあります。
犬の本気噛み対処法
犬に噛まれた瞬間を想像してみてください。
反射的に犬の口から引き抜きたくなりませんか?
痛みやショック、不快感もありますが、人間はケガをするとその部分を確認したくなる本能があります。
しかし、引き抜く前に一呼吸して下さい。
噛まれた状態で引き抜くと大惨事に繋がってしまいます。
犬が離すまで動かない。
噛まれた瞬間に反射的に手を引くと、
犬の牙が人の肌に深く刺さってしまいます。
また、犬は動くものを噛みたがる習性があります。
噛まれたショックや痛みで体を動かすのは、犬を興奮させて更に噛みやすい状態になります。
噛まれても痛くない厚手の手袋か、
タオルを手に巻いて、噛まれる前に備えてください。
噛まれても毅然としている。
2つ目のポイントは、
噛まれたときのリアクションです。
私たちが思う以上に、人の恐怖心は犬に伝わります。
恐怖心が犬に伝わると
「こいつは自分より弱い」
「噛みつくのが有効だ」と考え、
より一層、わがままで攻撃的になるのです。
犬は人間と主従関係を結べる動物です。
人間に従わせる必要があります。
しかし、決して怒りや暴力に任せるわけではありません。
「弱い犬ほどよく吠える」という言葉がある通り、
人を噛む犬は怖がりで繊細な子がとても多いんです。
恐怖のあまり噛みついているのに、
さらに怖がらせるのは逆効果。
愛犬と接するときは常に余裕を持ち、
噛まれてもリラックスした気持ちを保ちます。
包み込むような愛情が必要なのです。
噛まれた時に躾をしない
その犬が噛む理由によって、
本気噛みの躾は変わります。
間違った躾をすると逆効果になってしまうのです。
本気噛みのベストな対処法は、噛まれない環境を作ること。
愛犬が噛んだ時のシチュエーションや、表情などの様子を観察するのはもちろん、
日ごろの習慣や威嚇行動(唸る、歯を見せる、吠える)など、
噛む以外の行動でもメッセージを発しています。
そのメッセージを受け取ったら、
愛犬と飼い主、お互いの安心と安全を確保するように努めてください。
躾よりも安全に生活できる環境作りが大切です。
噛まれた時の対処法をご紹介しましたが、
あくまでも応急措置のように考えて下さい。
子犬のうちに本気噛みを対処する。
成犬の本気噛みは矯正が本当に難しいのですが、
子犬の遊び噛みは、飼い主でも比較的簡単に短期間で矯正できます。
ですので、生後7ヶ月を過ぎたら遊び噛み矯正を必ずしてください。
遊び噛みが本気噛みに繋がる
子犬は噛みつく力も弱いので、
本気で噛みついても大ケガをすることはありません。
しかし、成長するにつれて噛みつく力は強くなります。
遊びで手加減して噛んでいた成犬が、
エスカレートして人に大ケガを負わせてしまった事例はいくつもあるのです。
噛ませるためのオモチャを用意する。
生後7ヶ月以下の幼年期は、
歯が生えることで歯茎がムズムズして「とにかく噛みたい!」という衝動を抱えてます。
噛ませないと逆にストレスになり、
別の問題が発生してしまいます。
自由に噛んでも良いオモチャを与えて、
オモチャ以外の物を噛んだときにしっかり躾をしてください。
遊び噛み矯正方法。
子犬の遊び噛み矯正の手順を箇条書きで説明していきます。
・実際は痛くなくても、口調を強めて怒るように「痛い!」や「やめて!」と伝える。
文章ではなく「単語」を発することで、犬が理解しやすくなるのです。
叱る単語を決めておいて、家族全員で共通した単語で叱ると効果が高まります。
・犬が口を離すまで、噛まれてる部分は動かさない。
・無視する。
・鳴きやんだら遊ぶのを再開する。
興奮してくるとまた噛みつくので、そしたら同じ行動を繰り返してください。
子犬の遊び噛み矯正の重要なポイントは、無視することです。
・見ない。
・触れない。
・話さない。
これを徹底できれば、その場で他のことをして待つのも問題ありません。
無視が子犬に有効な理由
隣の部屋に移動し姿を消す理由は、
子犬の興奮を落ち着かせるのと、悲しいと思わせるためです。
飼い主の怒っている声と、突然居なくなる行動で「いけないことをした」と理解します。
無視されるのは犬にとって非常に悲しいできごとで、
その犬の気持ちが学習を加速させます。
しかし、最初は飼い主が何に対して怒っているのか理解できないでしょう。
何回も何回も繰り返すことで
「噛むことに対して怒ってる」「噛むのは悪いことだ」と覚えます。
そうやって噛まない子に育つのです。
犬の本気噛み対処法:まとめ
犬にとって生き物を噛むことは自然なことです。
・遊ぶとき
・子犬を運ぶとき
・イタズラされて怒っているとき
子犬の時に人を噛まないように矯正ができてれば良いのですが、
大人になってから突然「噛むな!」と言われても受け入れるのは難しいでしょう。
本気噛みは訓練士でも手を焼く危険な行動ですが、
飼い主の努力によって本気噛みの被害を回避することができます。
成犬に噛まれた時の対処法。
・口を離すまで動かない。
・噛まれても毅然とする。
・噛まれた時に躾をしない。
これは噛まれた時の応急処置です。
根本から本気噛みを矯正するには、
その犬を観察して最適な躾をしないと難しいのです。
犬の観察もせず無責任に躾のことは書けないので、
ここまでとさせて頂きます。
子犬の遊び噛み矯正法。
・噛ませるオモチャを用意する。
・口を離すまで動かない。
・低い声でハッキリ叱る。
・無視する。
子犬の甘噛みは遊びによる行動です。
6ヶ月齢以下の子犬は噛みたい衝動を抱えているため、
用意したオモチャだけを噛ませる訓練が必要になります。
怒ってる意思をハッキリ伝えるのと、
無視することが重要になります。
犬を上手に誘導しましょう。
本気噛みを矯正するには、
犬という動物について深く知る必要があります。
犬が納得できるやり方で、
ちゃんと伝わるように躾なければ意味がありません。
最近では、逆効果になる躾を行う訓練士がテレビ等で問題になっています。
訓練士へ相談する場合は、
恐怖や暴力による躾をする方は絶対に避けてください。
愛犬の性格や特徴を深く理解して、
人間のルールにうまく誘導してあげるのが犬と上手に付き合うコツだと言えます。
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